広島高等裁判所岡山支部 昭和26年(う)458号 判決
本件記録及原審において取調べた証拠並当審における事実調の結果によると被告人が判示鰡を採捕した場所は判示堀田養魚池内ではなく同養魚池の水を外部に排出するために作られた同養魚池附属の溜池内であつて同溜池にはこれに接してその南方を流れる小川との境には約〇、八米樋口が設けられてあるが何等開閉用の扉もなく右溜池の水は右小川に自由に流れ出ることが出来ると同時にまた右小川より右溜池にも川水が自由に流れ込むことが出来る様になつており、従つて被告人が採捕した同溜池内の魚類が右養魚池内の魚類であるかどうかも識別困難なる状況にあることが認められる、そうすると被告人が他人の養魚池内において他人の管理している鰡を窃取したとの事実はこれを確認することが出来ないのに拘らず原判決が被告人の窃盜の事実を認めたのは事実誤認の違法を犯したものといはねばならない、そして右の事実誤認は判決に影響を及ぼすこと明らかである重大なる事実誤認であるから論旨は理由あり原判決は破棄を免れない。